2007年07月05日

消えた喪の和服

 夫祖母(明治生まれ)のお葬式に参列してきました。蒸し蒸しと肌に湿気がまとわり着き、どんより雨雲が垂れ込めた、梅雨真っ盛りの日和でした。
 近しい親族の葬儀に立ち会うのは、なんと中学生の時以来、20ン年ぶりです。当時は当然学生服。結婚の際に母と祖母から喪服一式はどさっとお下がりをもらっていましたが、何しろ勝手が分からない(汗)。お数珠を持参し忘れたり、40にもなる大人が常識も知らずに恥ずかしいことばかりでした。

 和の喪服も一式あったのですが、さして悩まず止めておきました。一番の理由は、袷で、試着してみた時とっても暖かかった‥とんでもなく季節外れだと思われたからです。せっかく帯は夏冬兼用のリバーシブルなのですが、夏の長着は「買え」モードですね。
 また、「娘方の孫の嫁」という比較的遠い位置ということもあるので、着物って「重い」かなあ?とちょっと遠慮。

 喪主の妻である団塊の世代の叔母は和服なのかしら?と気になってましたが、洋装でした。ご近所の老婦人方も。お琴の先生をして山ほど着物を持っている叔母も。私の結婚式には自前の黒留袖で列席して下さった義母も。
 今って、そんなものなのかもね。暑かったし。
 家風もあるでしょうね。お式が終わって、葬儀場から徒歩すぐの祖母の家に皆集まると、多くがワラワラと着替えてTシャツやらジャージ姿やらへ変身。喪主である叔父はステテコ姿に!(驚) 前夜葬儀場に泊まった叔母は疲れからか畳の上でお昼寝。カジュアルなおうちです。

 皆で祖母の古いアルバムを見ました。「着物が普段着」だった世代なんだなあ、と感じられました。
 お棺に入れた時も、「一番のお気に入りだった着物」を、掛け布団の上に載せていました。正統派でもアンティークでもない。上品でもお洒落でもない。ただのフツーの「衣服」でした。
 見送られる祖母は着物の人。見送る子や孫は着物と縁のない人。時代の境目を感じました。また一人、着物の時代を知る人がいなくなったのですね(感慨)。

 お坊さん(女性です)はさすがに和装。きれいなペパーミントグリーン?の袈裟懸でした。葬儀の最中に「ポリかなあ?仕事着だからそれも合理的かなあ」なんてつい観察してしまいました。

 遠く離れた田舎の親戚たちとはほとんど交流がないのでカウントしないにしても、夫と私両方で、父母義父母が4人、祖母1人、叔父叔母が4人、その連れ合いが4人。「上の世代」だけで13人もいるのを、思わず確認してしまいました。早くに亡くなった人がいない幸せな一族とも言えますが、見送る時は立て続けなんだろうなあということが、急に思い浮かんできました。
 「喪服なんて、滅多に使わないから、高いものを買うのは無駄」な気がしていましたが、これだけ出番があれば、回数に耐えるまともなモノが必要なのだとも思えてきました。

 「気にしない」人たちだということがより一層分かったし、私は「着物が好きな人」ということは親戚中に知れ渡っていますので、葬儀に和服でも「eribowさんは和服の人」と認識されて、問題はなさそうな感触でした。
 8月半ばには四十九日の法要があるでしょうから、色喪服で出席してみようかなあ。

ーーーーーー

 意識不明が続いたけれど、最後は娘息子全員に見守られて、大往生でした。眠るような、安らかな死に顔でした。笑い声さえ起こる、今まで列席した中で一番明るいお葬式でした。
 結婚して以来だからわずか10年のお付き合い。それでも、人の死は、いろいろ思うところがありますね(しみじみ)。
ラベル:喪服 着物
posted by eribow at 14:27| Comment(15) | TrackBack(1) | 着物つれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
みなさん、長寿のご親族なんですね。

結婚すると、冠婚葬祭の機会は倍に増えます。
私の場合、夫側の親の兄弟が多いということもあり、更に、丁度歳周りがそういう時期だったのか、結構数年後にラッシュでした。つい最近にもラッシュ。なんか、波があるようです。

んで、喪の着物なんですが、庶民のありふれた家庭の場合、全季節分の黒紋付持っていることは至極稀で、袷の一揃いが多いようです。
今頃のような夏場の場合は、洋服にするというのはよくある話です。

神田に住むキャチキャキの江戸っ子の知人は成人式になんと6揃えの黒紋付を作ったとか。
これが全季節分なんだそうです。

法事の方だと、夫の祖母が大往生で7月でしたので、法事は常に7月。13回忌には、シルックの薄紫の無地絽に黒の紗の帯にしました。
Posted by 優妃讃良 at 2007年07月05日 14:57
急なことで、大変でしたね。お体、休めてくださいね。
最近、自分の身の回りのお葬式を思い出してみました。

割と最近の都内と東京近郊のお葬式では喪主の妻や喪主(故人の妻)は洋服と和服半々。
法事ではゼロ。
十年前の東北の夏のお葬式、法事ともに和服ゼロ。

都心部とは違って、地方では人口が少なく着付けできる美容院までが遠いこともあるから、
かえって地方より都心部の方が喪の時の和服率が高いかも?
Posted by いちご at 2007年07月05日 15:51
To:いちごさん

夫の実家の親族の場合は、着付け師さんを「家に呼ぶ」んですよ。だから全然問題なし。
考えてみると、すごい贅沢な発想。

そういえば、先日、夫の親族で東京に住んでいる方が亡くなって、夫の両親が上京してきて、殿と3人で葬式に出たんですが、義母は洋装でした。
「縁が遠いから」「夏だから」とか考えたけど、東京では着付け師を呼ぶ習慣がないので、自力で着付けないとダメ。その辺もあって洋装にしたんでしょう。
Posted by 優妃讃良 at 2007年07月05日 16:49
そうそう、私の祖母が亡くなったときには、祖母を最後まで介護していた叔母は洋装でした。介護疲れから、着物を着る根性がなかったそうです。
私の母、私、私の娘は着物を着ました。

年配の場合、「着物は疲れる」と敬遠することもあるようです。団塊の世代など、普段は洋服で着物を着慣れているわけではないので、こういうときだけ着物を着るとなると、もうそれだけで疲れてしまうんだそうです。
Posted by 優妃讃良 at 2007年07月05日 16:56
急なことで大変でしたね。
でも、娘息子に見守られて送られる大往生と言うことですので、
天寿を全うした人生でいらしたなら、懐かしく思い出話で送られてとてもよいように思います。
色喪服をお考えのようですが、案外49日の法要は洋装が多いです。
納骨で、足元が悪いことも多いからだと思うのですが、洋装のみでした。
一周忌などの、少し落ち着いた時期にお召しになったほうが
いいように思います。
Posted by ひよっこ at 2007年07月05日 22:26
おばあさまのご冥福をお祈りいたします。

私の祖母(明治生まれ)は昭和の時代に亡くなりましたが、やはり着物の人でした。
一緒に暮らしましたが、洋服姿は盛夏の数日のムームーみたいなのしか見たことがありません。
幼稚園の遠足にも、着物で来てましたよ。

先月、義母(姑)が亡くなり、喪主(長男)の妻ということで和の喪服を着ました。
自分の意志でなく、義妹が「着てくれる?」と言うので、気持ちを尊重しまた。
義妹はそろそろ40歳。やはりある年齢になると「喪主の妻くらいは和の喪服で」と思うようです。彼女は洋服でしたが。

足りないものの買物や受付まで何か聞きに走るなど、結構忙しかったですが、着物に慣れていてよかったと思いました。
Posted by 福娘紅子 at 2007年07月06日 08:01
お祖母様のご冥福お祈りいたします。

四十九日が8月中旬とのことですが、この時期、着物で、旧盆の行事をお寺でしたことがあります。 いやー、冷房のないお堂は屋根が高くて、他所よりは涼しいとはいえ、京都の蒸し暑さ。 暑かったの何のって、へばりましたワ〜

ということで、暑さガマン大会に挑戦なら、着物で法事もいいかもです。 それに、記事にもできるし。。。(←不謹慎よね(^^;)
Posted by ぶり at 2007年07月07日 09:47
私も喪服を着る機会があったので
TBさせていただきました。
49日は私たちの親戚筋では
洋服の人も完全喪服なので、
今回もちゃんとした黒い喪服を着る予定です。
記事にも書いたように慣れると
着物はいいですよ。

親族じゃなかったら、葬儀でも
地味な小紋か色喪服を着ればいいし。
Posted by うまこ at 2007年07月09日 15:25
皆様、コメントありがとうございました
お返事を書く前に、別記事にも書いた友の葬儀が加わって、
天寿を全うした祖母とは違う、自分と同じ年の人間の
幼子を残した早すぎる死に呆然としています

>優妃讃良さん
6揃いの喪服には驚きです!

>福娘紅子さん
着慣れている/いない という事情は、和服を着るか否かに関わり深いでしょうね

>いちごさん
10年以上前、東北地方で遠縁の伯父の葬儀に出席しましたが、
当時は着物に興味もなく、喪主(その妻)の装いにもあまり記憶がありませんが
和服だったような気もします だいぶ年配の方でした
田舎なので親戚の人数がものすごく多く、ホテルの広間を借りて、
規模としてはまるで結婚披露宴のようだったことを覚えています

>ひよっこさん
>うまこさん
旧貴乃花親方の葬儀で、離婚した元奥様が色喪服で参列したら、
「華やかな服」だったと叩かれたという話を聞きました
身内ではないのですから、黒喪服ではなく色喪服を選ぶのは正しいのですが、
着物コードを知らない人たちにとっては「葬儀=黒」なのに
黒以外とは個人を冒涜するものに感じられたのでしょう
ならばいっそ洋装すればよかったという考え方もありますが、
「和服スタンダードの人」として着物にせざるを得なかったのかもしれません
世間は、常識は、移り変わっていく一方、ルールを知っている者は
無碍にそのルールを踏み外せず‥時代の変わり目の難しさを感じました

>ぶりさん
>冷房のないお堂は屋根が高くて、他所よりは涼しいとはいえ、京都の蒸し暑さ。
>暑かったの何のって、へばりましたワ〜
49日の法要、26年ぶりなので(当時のことは記憶の彼方)参考になりますφ(・・;
通夜・告別式に関して言えば、スーツ姿の方々に合わせてなのか冷房がきつくて大変寒く、
足もとが冷えてお腹を壊しそうでした
「着物なら冷えないのに‥」とチラリと思いました
半袖のワンピースに、上着を持っていけばよかったです

Posted by eribow at 2007年07月10日 09:33
あの元貴乃花親方の葬儀で私もなんでわざわざ目立つ白に近いグレーの色喪服なのか?私にもその時は理解出来ませんでした。皆黒い中では淡い色は大変目立ち、まして色々あって、最後を看とれなかった元親方婦人としては、あんまり目立ってしまうのは、どうなのかとも、思いましたが、昔の喪服の原点は白喪服だったという話しも聞きました。知らないの?これが正式なのよ、と独り突っ張るより、廻りを見渡して、我が身を振り返る必要もあるのでは?ただ洋服と違ってサイズがヒモで自由な和服は、久々に出したら着られない〜なんて事はないですね。実は私もこの夏に喪服作ってます。結婚すると家紋が気になります。
Posted by erineko at 2007年07月12日 08:21
>erinekoさん
同じ色喪服でもやっぱり「派手」だったんですね(苦笑)
私は実物見ていないので(ああ、じぞうさんレポがほしかったよ)
ダークな紫とか濃い緑とかをイメージしていましたがそうだったのか
まあ、何しても叩かれる人だとは思いますけど(^^;
着物推進派としては「着物を着たお陰で余計なバッシングにあった」
という例になってしまうのは残念ですね〜
着物パワーで「見直した」と思われるようであってほしかったです
(本人はそういうつもりだったのかもしれないけどねー)

喪服を誂えるタイミングって難しいですから、今回はいいきっかけになります
私も喪の装いは準備だけしようと思っています
今度バーゲンがあったら夏喪服も買っておこう
Posted by eribow at 2007年07月13日 12:24
ところで、eri様&miz様>
常々思っているのだけれど、幅広い知識と蘊蓄の優妃讃良様のコメント、このまま埋もれるのは、とーっても、もったいないわよね♪ 私が管理人だったら、ぜひとも、web pages開設・整備して、その知識を広く発信していただくように、お願いするところなのだけど、、、どうでしょ♪
Posted by ぶり at 2007年07月14日 01:01
親方婦人はもう身内ではないから色喪服が正式で礼を尽くした最後の装いだったんですよ。派手だったと叩いた記者が知らないだけの話し(付け加えると)それから夏黒紋付ですが、実際は梅雨時の方が亡くなる方が多いそうで、よくよく着物を解っている方は単衣の喪服を誂えるとか。そういえば、病気で単衣の時期って多いかも。 私の周りでも昨年2件単衣の時期でした。身内に病気の方がいない時とはいいますけど。(準備してるみたいに思われるからでしょうね)作るタイミングも皆元気な時ってのも難しいですよね。取り乱してる時だからこそ作り帯にして簡単に着られるようにする方もいるみたい。
Posted by erineko at 2007年07月15日 14:12
>ぶりさん
お返事遅くなり、失礼いたしましたm(__)m

優妃讃良さんの情報量&体験には、いつも感動しております
優妃讃良さん、こんなこと言われてますけど、どうですかー?(叫)
私の想像では、もしweb開設に興味があればとっくになさっている方だと思うので、
今現在開設していないということは、あまりご興味ないのかな‥
でも、本当に勿体無いと思うので、まずは何らかの形で
「参謀」役をやって下さるとスゴーくありがたい
私個人にとっても、ネット上の全ての読者にとっても!

優妃讃良さん、もしよろしかったら、
eribow@u01.gate01.com までDM下さいねー!!!(叫)

>erinekoさん
またしても「物知らずの記者」ですか‥(-_-;
和の伝統業界においては、洋服でなくて和服の礼装が
そりゃー「礼を尽くした」ものなのでしょうねえナルホド

本文中でも触れましたが、年長で親しい親戚のみでも、結構な人数です
遠縁の親戚、同世代や年下の親族、仲間、友達‥と考えていったら
実はこれからの人生、喪服の出番いっぱいなのですね(暗澹)
6揃いはナシとしても(苦笑)、単衣はあってもいいような気がしました

そうそう、四十九日に色喪服として使えると踏んでいた、
渋いグリーンの無地の紗が、「紗紬」らしいということが判明‥
紬じゃあ、いくら地味でも、法要には不適ですよね?(がっかり)
Posted by eribow at 2007年07月18日 15:49
情報提供です。

優妃讃良さんはもちろんすでにサイトを開設しております。
優妃讃良の着物について思うこと
http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/yui-diary/

「優妃讃良」でググったらちゃんとトップにでてきたので、ご本人のご了承を得ずに書いてしまいました。ご容赦下さいm(__)m
Posted by こだま at 2007年07月18日 22:21
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Excerpt: 蓮に引かれて極楽浄土と言えば、阿弥陀さまです。 実は阿弥陀さまに導かれるのは私ではなくて義理の叔父。 仕事の次の日は都内で葬儀に参列することになったので、 色々考えた末、昨日との違いがわかります..
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